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元カルビー社長の著者が自社製品の仕入れで築いた契約栽培の仕組みを
生かして水田を畑地に転換し新たに15兆円の産業を創造すると提言しています。

スマート:「賢い」「利口な」「ムダのない」「洗練された」
テロワール:その地域独自の風土・景観・品種・栽培法などが育む特徴ある地域

このスマート・テロワールが目指すべきは地域ユニット内の自給圏

日本の食料自給率:1965年度73%から2013年度は39%(自動車産業90%)
コメは97%!野菜も76%と高いが、味噌・醤油・豆腐・納豆の原料となる大豆は23%
小麦は12%、畜産品16%。

全国の水田は270万haあったのがいまでは100万haが過剰となり休耕田・耕作放棄地に。
反収は100年で200kgから600kgへと約3倍、一方で需要は半減しているため
素人感覚でもこのデータは腹に落ちました。

著者の提案として、自らがポテトチップスなどの原材料としてじゃがいもを
仕入れるためにつくりあげた産地との契約栽培方法(原価や数量の担保)により
7,000haの契約農地面積でスナック売上1,000億円を実現させたやり方をヒントに。

過剰となった水田100万haを、大豆や畜産品など自給率の低いものを生産する畑作と
食品加工業に転換することで、計算上は15兆円の産業を創造できるという提言です。

行き過ぎた重商主義から、重農主義への回帰というマクロ政策をとりながら、
基本は「食と農を地域に取り戻す」そのために鍵を握るのが地域ブランドであると
展開しています。

産地認証制度(略称「地理的表示法」)が法制化され、日本でも産地認証マークを
つけた商品が店頭に並んでいくことが期待されます。
ただし、懸念として地域ブランドといいながら地元をないがしろにして、東京など
大消費地向けに作られたものが出てくることです。

地方創生、地方分権を推進する上でも、スマート・テロワールの確立は
重要であり、もっともっと産官学で注力していくべきテーマであると
改めて考えさせられました。

参考ながらカルビーの社名の由来を初めて知りました。

雑穀業を営んでいた創業者(松尾孝)が昭和の初めに栄養学の先生から
「日本人はコメを白米にして食べるが、胚芽などビタミンを多く含んだ
穀物の重要な部分を捨てていて使っていない、未利用資源にこそ健康な
身体を作る源がある」と指摘され、この言葉を実践する食品「カルビー」
を作ったそうです。

カルビーの社名はカルシウム「カル」とビタミンB1「ビー」に由来