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経営学というとドラッカー、ポーター程度の認識で机上の空論と
捉えがちですが、この本のスタンスである「思考の軸、羅針盤」と
考えると有用なものになりそうだと共感しました。

①Ambidexterity「両利きの経営」
 (byスタンフォード大学 経営学者ジェームズ・マーチ)

イノベーションの源泉(byシュンペンター New Combination)
「既存の知と、別の既存の知の、新しい組合わせ」

企業組織は、
「知の深化(Exploitation)」に偏り、
「知の探索(Exploration)」を怠りがち。

コンピテンシー・トラップ

「知の深化」への傾斜は短期的な効率性という意味ではいいが、
結果として知の範囲が狭まり、企業の中長期的なイノベーションが
停滞する。 

「知の探索」には、「なるべく自分から離れた遠くの知を幅広く探し、
今持っている知と新しく組み合わせる」ことが第一歩

組合わせた知がビジネスになりそうなら、深堀する、それが
「知の深化」という構図

経営者に求められる三つの「両利きのリーダーシップ

(1)自社の定義する「ビジネスの範囲」を狭めず、多様な可能性を
   探求できる広い企業アイデンティティーを持つこと
(2)「知の探索」部門と「知の深化」部門の予算対立のバランスは
   経営者自身がとること
(3)「知の探索」部門と「知の深化」部門の間で異なるルール・
   評価基準をとることをいとわないこと

確かに、日常的な経営では、目先できていることを深化させがち。
また、深化と探索を同列に扱うと組織の軋轢が生まれるのも実感。 

 ②トランザクティブ・メモリー
 (byハーバード大学 社会心理学者ダニエル・ウェグナー)


組織の学習効果、パフォーマンスを高めるために大事なのは
「組織のメンバー全員が同じことを知っている」(=情報共有)
ことではなく
「組織のメンバーが『ほかのメンバーの誰が何を知っているのか』を
 知っておくこと」

組織に必要なのは、Whatではなく、Who knows what。

人の知識のキャパシティーには限界があり、全員が同じことを
覚えていては効率が悪い 

トランザクティブ・メモリーを高めるために有効なのは
直接対話>電話>メール。

空間としては、よく言われるタバコ部屋が最も機能していた。
代替空間として、オフィスの真ん中にコーヒー飲み場や
無料のカフェテリアをつくるだと、フェイス・トゥー・フェイスの
仕掛けを意図的につくりだしている。

仕事ができる人は、自分の知らないことに直面しても、
すぐに「どこの部の誰に聞けば詳しい」と直接アプローチして
的確な解を得られる。

③弱い結びつきの強さ(Strength of weak ties)
 (by スタンフォード大学 マーク・グラノベッター)


新しい知の組み合わせには、親友同士などの「強いつながり」より、
ただの知り合い程度の「弱いつながり」のほうが効果的である。

理由(1)

弱いつながりからなるネットワークは、全体的にムダが少なく
効率的である。

強いつながりだと、情報がすみずみまで届くまでに重複する
ルートが多すぎて情報波及の効率が悪い

理由(2)

弱いネットワークは簡単に作れる
その分、遠くまで伸び、多様な知見・背景をもった人と知り合える

④サーチ行動
(by ノーベル経済学賞 ハーバート・サイモン)


組織学習に最も重要な基本原理
「新しい考え方・アイデア・知見・情報などを常に探す」行動。

企画ができる人、創造的な人に共通する行動特性だと思う。

⑤ダイバーシティ

2つの種類がありその峻別が重要

(1)タスク型の人材多様性

実際の業務に必要な「能力・経験」の多様性
その組織のメンバーがいかに多様な教育バックグラウンド、
多様な職歴、多様な経歴を持っているか

(2)デモグラフィー型の人材多様性

性別・国籍・年齢などその人の「目に見える属性」についての
多様性

(1)は組織パフォーマンスにプラスの効果をもたらすが
(2)は影響を及ぼさない

組織に重要なのは(1)であり、「知の多様性」

(2)は「分類」する心理的な作用がどうしても働き、
同じデモグラフィーを持つ人との交流だけが深まる。

結果として、「男性対女性」「日本人対外国人」などの
組織内グループになり軋轢が生まれがち。 


ここも気をつけなければならないポイント。
特に、女性や外国人のマネジメントでは要注意。
ついつい、女性は女性、外国人は外国人で分類しがち。

最終的には、性別・国籍問わず、一番良いアイデアが出て
成果の高まるメンバーを選抜してチームビルディングを
することがゴールであることを忘れずにいたい。