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2013年、北京のアメリカ大使館屋上に設置されたセンサーが、
市内の炭素排出量の変化を1時間ごとに報告、そのデータが
インターネット上で公開され、危険な汚染レベルを住民に警告。

中国政府はこの情報のせいで、石炭を燃料とする近隣工場の
炭素排出量削減措置をとらざるをえなくなり、自動車交通や
大量にエネルギーを消費する工場での生産を制限。

様々な装置をIOTにつなぐセンサー
2007年、1,000万個。
2013年、35億個!
2030年、100兆個!!

シスコ社

2022年にはインターネット・オブ・エブリシングが
コスト削減と売上で14兆4000億ドルを生むと予測

GE

IoTによる効率や生産性の増進
2025年には「世界経済の半分」に影響を与えると結論。

IoTはコミュニケーション、エネルギー、輸送の
インテリジェントインフラを形成、効率性や生産性を極大化。

生産量を一ユニット増加させる限界費用がほぼゼロになると、
財やサービスはほぼ無料になり、利益は枯渇し、
市場における財産の交換は停止して、資本主義体制は終末。

代わりに台頭してくるのが共有型経済(シェアリング・エコノミー)

3Dプリンターや大規模オンライン講座MOOCなど、
人々が協働でモノやサービスを生産し、共有し、管理する
新しい社会が実現

【ガンディーの経済見識との類似性】

70年以上前に表明されたマハトマ・ガンディーの見識

「大量生産ではなく、大衆による生産」
自宅や近隣地域での大衆による地元生産「スワデシ」。

背後にある発想

「仕事の元へ人々を連れてゆくのではなく、人々の元へ仕事を持ってくる」
「生産と消費は再結合されねばならない(=今日のプロシューマー)」

ガンディーの考える村の自治(スワラジ)

自らの存続に必要なものを近隣に頼らないが、依存が必要な他の多くのモノ
については互いに頼りあう完全な共和政体。

ガンディーの理想の経済

第三次産業革命やそれに付随する協働の時代と驚くほどの哲学的類似。

自給自足の村のコミュニティどうしが手を結び、波紋を拡げてより広範な
「大洋のような輪(オーシャニック・サークルズ)」となり全人類にまで
行き渡るという見解。

現在の、第三次産業革命の経済パラダイムにおいて、マイクロ送電網を
互いに接続し、果てしなく分散型・協働型の水平ネットワークを形成して
ゆく姿と類似。

市場における私利の自主的追求ではなく、共有されるコミュニティに
おける各自の関係の最適化という彼の幸福の概念は、協働の時代の特質。 

【日本の進むべき道】

ドイツ・メルケル首相

2022年までに、原発をすべて稼働停止に。
グリーンな第三次産業革命のパラダイムへの転換を加速。

ドイツがIoTによる第三次産業革命の土台を築き、資本主義市場と
共有型経済の両方から成るハイブリッドの経済体制へ。

日本はドイツと比べて、国土は5%、人口は68%、GDPは74%多く、
太陽光や風もはるかに豊富だが、2014年2月までに増やした太陽光発電量は
ドイツのおよそ5分の1にすぎず、風力の利用の増加はないに等しいレベル。 

日本の動き

日本を引き止めているのは、一握りの巨大な電力公共事業

総効率と生産性の劇的改善は日本の得意分野。
スマート電力メーターの設置や電力網のデジタル化は推進の傾向

自動運転時代を見据えて、電気自動車や燃料電池車への移行も推進。
日本政府は、自動運転車の試験道路の建設用にも8,300万ドルを注入

カーシェアリングサービス

登録者数:2009年の6,396人→2014年の465,280人、
供される自動車の数:563台から12,373台に増加。

日本の進むべき道

IoTの世界と限界費用ゼロ社会における日本の将来を評価するにあたり
無視できないのが高齢化と人口減少。

これまでは、労働人口が減れば必然的に日本の生産性が落ちる、
歴史の流れは人口動態で決まり、将来性があるのはつねに、
人口再生産率が最も高い社会。

しかし、高度に自動化されたスマート経済においては、人口動態あるいは
人口再生産率は経済的健全性の唯一の指標ではなくなる可能性。

総効率と生産性を向上させてきた日本の幅広い歴史的経験は、第三次産業革命を
迎え入れるためのスマートIoTインフラへと向かう上で強みに。

もし日本が持続不可能な20世紀のビジネスモデルの特徴である、
古いコミュニケーション・テクノロジーやエネルギー様式、輸送・ロジスティックスから
抜け出せなければその将来の展望は暗い。

だが時を移さず起業家の才を発揮し、エンジニアリングの専門技術を動員し、
それに劣らず潤沢な文化的資産(効率性向上への情熱や未来志向の活力)を
活かせれば、限界費用ゼロ社会とより平等主義的で豊かで持続可能な時代へ
世界を導くことに貢献。