IMG_0178

働き方の改革が、地方の活性化策と人口減少対策に
有効とする提案。
普通の若者が「他者と競わない」方法で活躍する
事例を共有し、「これなら私もできる、地元で働い
てみたい」という意欲を湧かせようとする趣旨。


①「パラレルキャリア」「二地域居住」

ドラッカー『明日を支配するもの』
http://www.amazon.co.jp/dp/4478372632

1999年に、
①企業・仕事が消えるリスクに備える
②二つの仕事をこなすと、意欲と能力が高まる
「パラレルキャリアは21世紀に求められる働き方」
と提唱

パラレルキャリアは転職と異なり「同時に複数の
キャリアを持つ」「二地域居住」「交流人口増加」
「2枚目の名刺」とほぼ同義。

人口減少と都市化が進むほど地方都市は市場が縮小
「シングルキャリア(一つの仕事)では
 十分かつ安定した収入を得ることが非常に困難」

働く側からすれば
「いきなり地方でシングルキャリア前提の移住は
 敷居が高すぎ」

具体的には
「年間訪問8回、各滞在5〜7日、年間滞在50日ほど」

大企業や役所の年間休日は有給休暇を加えると
約140日 。
その3分の1をパラレルキャリアに充てる計算。

東京と富山のパラレルキャリアコストは70万円。
交通費20万円(2.5万円×8往復)
滞在+活動費50万円

例えばシングルキャリアに比べれば富山の特産品を
東京で卸すなど「市場(仕事)の創造」を70万円の
投資で期待するなら、移住してくれなくても効果は
高いとする計算。

②求人倍率の真相

求人倍率は本社所在地別なので本社が集積する東京
が最も高く見える。
しかし「就業地別」では東京は15位にすぎない。
実は「地方の方が仕事は多い

「就業地別」求人倍率
1位:福島1.48 2位:福井1.36 3位:愛知1.34
4位:宮城1.33 4位:富山1.33 6位:香川1.30

地方は人手不足に陥るほど雇用の量は多い?

ただ、地方の求人は「販売・営業職」が多く、給料
が安いので人気は低い。これを表面的に「地方には
良い仕事がない、東京本社を地方に移転」という
提案には疑問が残る。

よく言われる成功事例の「コマツ」は小松市が創業
地であり核となる工場があったのでできたこと。

本社採用枠は年たった10人で競争率は20倍以上。
普通の若者にはまったく縁のない話といっても
良い。

大企業の地方移転を政策化しても、投資対効果は
非常に低い。
最大の問題は、普通の若者に実現しない期待を
抱かせる罪深さ。 

③東京一極集中のウソ

もうひとつ、地方の若者は大都市へ流出、東京
一極集中のウソ

人口増減率(1965〜2010年)

札幌市133% 仙台市101% 福岡市90% 
広島市  69% 神戸市  27% 東京都21% 
名古屋市17%  大阪市▲16%

東京より、札幌・仙台・福岡・広島のほうが
圧倒的に高い

内訳を見れば
学歴が高い若者、地方の濃いコミュニティを
鬱陶しいと感じる若者が地方を捨て,
大都市へ流出する。

つまり人口減少を考察する上では
「学歴×コミュニティ意識」
から解決策を導くべきという仮説。

明確な結論はすぐには出せないものですが、
高学歴でコミュニティを疎んじる人の都市流出を回避する方策は
見つけにくい一方で、そうではない人がどうすれば、地方に定着
し、活躍できるのか。

④地方都市が一番になれる軸

強者と競争せずに自分が一番になれる軸を創る

もみぢ饅頭が広島土産として1番になれた軸は
「価格(安さ)」「品質(うまさ)」ではなく「物語」

もみぢ饅頭を1番売る女性販売員の話。

宮島にある土産物店を素通りしそうな観光客に紙袋を見せて
「初代総理大臣のセクハラな一言から生まれた、もみぢ饅頭の
 物語を、お土産話にいかがですか?」と話しかける。

お土産にではなくお土産話に、がポイント。

物語の概要

伊藤博文が隠居後、宮島を繰り返し訪問、紅葉の名所、
紅葉谷の旅館で休憩、給仕した娘の手をとって
「なんと可愛らしい、もみじのような手であろう、
    焼いて食うたらさぞ美味しかろう」と、今時ならセクハラ
になりそうな逸話。 

新潟県新発田市のますがた旅館を紹介
http://www.masugatasou.jp/

新潟県新発田市の「割烹旅館ますがた荘」
の3代目、水野貴英さん

ますがた荘が割烹旅館として不利な条件
①家族経営の零細企業でお金が無い
②立地が悪い(新発田駅から2km、升潟に面する一軒宿)
③近隣の大規模旅館集積「月岡温泉」に勝てない
④温泉が無い

転機は顧客の声から(真冬に九州から来たビジネス客)
「こんなに沢山の白鳥が来る湖すごいな、来年の冬、ま
    た来ますね」

数十人の団体客から
「旅館の隣にある市営運動場は施設が立派で安いのに
    合宿所がない」

以上を踏まえて、
「ぐるめ割烹ますがた荘」(食事が目的の日帰り地元客)
「白鳥の宿ますがた荘」(白鳥が目的の冬の観光客)
「合宿旅館ますがた荘」(合宿が目的の春・夏の観光客)
3つの冠をつけてウェブも使い分け、同時並行で経営することで
オンリーワンのポジショングを得て成功している。

必要なのは各地域ごとに戦い方、働き方を考え、実践継続すること。
当然ながら、そう簡単にどこでも通用する解決策は存在しない。