井庭崇さん本人曰くの前評判通りの超力作。
総ページ数644ページは余裕でティール組織超え。
何より井庭さんも笑っていた序章だけで200ページは反則 笑。
量もさることながら質が高くて学びが一気に深まりました。
内容をまとめきれる分量ではありませんが、
自分が日々向き合っている
①人材開発 ②まちづくり ③経営
ですぐに使える部分をピックアップしました。
①人材開発
井庭さんが日頃から提唱されている、
消費社会→情報社会→創造社会を前提に、
主な学びのスタイルも
教わることによる学び
→話すことによる学び
→つくることによる学び
このつくることによる学びで、プログラム言語LOGOを
開発したパパートの「コンストラクショニズム」と
つながりました。
「コンストラクショニズム」は、
一言で言えばつくることによる学び。
個人的には一昨年にファシリテーター認定をうけた
LEGO®︎SERIOUS PLAY®︎のベースになる考え方として
学んでいただけに、より腹落ちしました。
とにかく考える前に手を動かせ!が原則。
とにかく創っちゃう。でも不思議と創れるんですよね。
さらに、その理由を多方面から問われているうちに
自分の中でどんどん言語化できていってしまう。
△最近、LEGO®︎SERIOUS PLAY®︎を使った
松山市駅前商店街のビジョンづくり
鈴木寛さんとの対談で出てきたeducationの語源も、
ハッとさせられました。
ラテン語でeducare(エデュケーレ)
eは「外に」ducareは「引き出す」
つまり、educationの本質的な意味合いは
「その人の潜在的な力を外に引き出す」
これは小中学校から、会社を問わずに
人材育成に関わる人にはマストな考え方だと
痛感しました。
ヴィゴツキーのことばの意味については、
目から鱗もので、最近の一番のお気に入りです。
言語は最初、「コミュニケーションの手段」
内面化された後に初めて「思考の手段」に
という順番は日頃、あまり意識したことが
ありませんでした。
そして他者へのことばである「外言」から
自分の中でのことば「内言」に取り込むことで
意味の発達が可能になり、その後、書きことばに。
確かに、考える=ことば、なのですが、
どうしても話しことばから直接、書きことばへの
変換は難易度が高いな、と思っていました。
しっかりと内言(音声を伴わない自己の内面化された
思考のための言語)を鍛える必要がありますね!
もう一つ、ことばの意味として2つに大別されており
・語義(ミーニング) :言葉の定義で辞書に載ってる意味
・個人的意味(センス):意識の中で心理的に構成される意味
圧倒的に僕らはセンスを考えなければならないな、と
これも早速、日々の実務で意識を改めているところです。
②まちづくり
こちらも日々の実務に照らし合わせ、まちづくりの局面で
問われる企画力にフォーカスしてみました。
以前より意識していた「アブダクション理論」が
この本のお陰で初めて体系的に整理された気がします。
企画をする際に必ず必要なのがアナロジー(類推)
ある対象を理解するときに、別の似ているものと比べて
そこから着想を得て考える
ほとんどの科学的な大発見は、アナロジーから
生まれているそうです。
そして、どのアナロジーをどのように使えば良いか、
何に関係あるのかがもっとも大事でありそれを見つけるのが
アブダクションであると言う関係性を初めて知りました。
アブダクションは、観察結果を元に、それを説明する仮説を
形成する方法で、創造性を論理学に結びつけた論理。
そして、何よりもパターン・ランゲージもアブダクションと
不可分であり、パターンをつくること自体もアブダクション
であるとの一説には深く共感しました。
観察・実験結果をもとにはするものの、観察そのものでは
ないことを発想する飛躍、がポイントですね。
日々の企画でも、この飛躍、ジャンプをいかにするかが大事。
井庭さんとUDSの共著、『プロジェクト・デザイン・パターン』
で記載した企画のコツも、同様にアブダクションによる
仮説類推が必要だなと改めて思いました。
③経営
市川力先生と井庭さんで提唱されている
「ジェネレーター」は以前より使わせてもらっており、
本にも記載の通り、役割・機能にとどまらず生き方、
まさにアイデンティティーだと共感しました。
つまり経営者そのもの。
ジェネレーターの定義は、プロジェクトやチームに
自ら参加し、創造実践に加わり、周囲の人のアイデアの
生成や発見の連鎖を支える人。
探求人のふるまいとも記載があります。
ジェネレーターの行動に関する記載はさらに共感度が増し
フットワーク軽く
なんとなくスタートし
とりあえず手を動かし
こじつけて考えてみる
ただ、わりとストイックに反省し
やり直し、考え直して
ひたすら変容し続ける
まさに自分が目指す経営者像でもありました。
「良い人」「正しい人」「美しい人」というより。。
「泥臭い人」「面白ガリア」にはクスッとさせられました。
単なるリーダーとの違いは、ポリフォニック(多声的)な対話、
一色に染めず、好奇心誘発参加。
この本では、ラーニングにおける文脈で、
ティーチャー :知識を教える
インストラクター:スキルを教える
ファシリテーター:話し合いを促す
ジェネレーター :一緒につくることに参加する
と整理されており、モデレーターやファシリテーターとの
最大の違いを「生み出す」としています。
個人的に、これからの経営は、ジェネレーター型でないと
困難を切り拓けないし、20代前半のマネジメントとしても
組織を活性化していけないのではないかと思います。
来るべき創造社会に向けて、パターン・ランゲージの
果たす役割はますます増えそうな予感。
この本で、改めてパターン・ランゲージが有効な分野は
具体的状況が多様に想定されて、一通りの手順を示す
マニュアルをつくることができない分野、とされています。
まさに、これからの経営だな、と感じました。
2月28日に、井庭さんと共著でこれからの創造的おもてなしの
心得をパターン・ランゲージでまとめましたが、
次のターゲットは、マネジメントだな、と考えています!
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