年末年始に読んだ本の中で気になる調査結果
がありました。

博報堂生活総研「生活定点2018」によると
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/671.html

「基本的に仕事が好き」と答えた人は全体で
46.8%。20年前に比べて7.2%減少。

年代別では

60代:58.8%
50代:44.1%
40代:46.2%
30代:45.7%
20代:35.1%

男女差は女性の方が9%高くなっていました。

年代別では習熟度やできること、権限の多さ
等も関係してくると推察しますが、それにし
ても20代の低さは気になりますね。。

また少し毛色の違うデータですが、開業率で
は国際比較で見ると、2015年で

アメリカ:14.3%
イギリス:12.4%
フランス:9.3%
日本:5.2%

と、今に始まったことではありませんが日本
の開業・起業率の低さは大きな課題だと感じ
ます。

原因は複数の要因が構造的に重なり合ってて
これ、というシンプルなものを見つけるのは
難しいですが、個人的には、中途半端な専門
分化、分業が大きいのではないかなと思って
います。(職人的高度な専門化は別です)

アーツ・アンド・クラフツ運動でも有名な
イギリスのデザイナー、ウィリアム・モリス

「仕事そのものに喜びを感じないのであれば
 その仕事は為す価値がない」

と、産業革命に伴う大量生産による安易な、
しかし粗悪な商品があふれていた状況を批判
して、中世の手仕事を大切にした生活に戻り
生活と芸術を統一することを主張しました。

これは現代にも通じるところですが、仕事の
質が大きく変わり、多くの人が仕事に喜びを
見出せないことに深く関係しているのが産業
革命を契機に生まれた「分業」という仕組み

1人何役も果たすのは美しく喜びあふれる働
き方としてます。

UDSでもマルチアクターや設計者が企画与件
や運営までカバーしながらデザインする動き
に共通する価値はありそうです。

日本では昔から「百姓」という言葉がありま
した。
百姓の「姓」は職掌、職業を意味します。

農業だけでは食べていけないので多様な仕事
をして生計を立てていく働き方の方が、日本
での歴史は長いです。

一つの会社に所属して単一の仕事、さらには
分業して専門的なことだけやる、あるいは、
中途半端な異動で専門性持たないまま表面だ
けなぞらえる仕事のやり方は、1960年代から
まだ60年程度の歴史でしかありません。

兼業農家、という言葉に代表される兼業、
多業、複業がもっと増えていっていいと思い
ます。

ただし、全体の仕事の質が高まり、喜びが増
していくためのもの、という前提です。

安易にプライベートで片手間でやる副業は、
おそらくあまり喜びを増すことにはつながら
ないのではないでしょうか。気休め程度?

ワークライフバランスも、否定はしませんが
ますは「ワーク」そのものに喜びを見いだせ
ること、仕事を通じて、自分自身が生きてい
る実感を得られていることが何よりも大切だ
と思います。

まずは、目の前の言われた仕事だけを専門的
分業の一つとしてこなすのではなく、目の前
のできることから境界なく、クライアントの
ため、チームのために貪欲にチャレンジして
いくことで、やりたいこともどんどん見えて
きて、その人にしかできない、仕事の重ね合
わせ方=強み、が見えてくると思います。

梶原さんの企画のコツをまとめた『プロジェ
クト・デザイン・パターン』で、個人的に好
きなパターンが最後の32「楽しい記憶」。

相手が期待していたものが実現されるだけで
なく、想定していなかったものも実現したと
きに、満足は称賛に変わる。

そうなると、次にまた一緒に組むことになっ
たり、積極的な紹介につながったりする。

このようにして自分らしい企画をつくり続け
ることができるのである。

つくるプロセスも楽しんでもらい、最後に
「一緒にやってよかった!」と称賛される
仕事をして、今年も「楽しい記憶」をたくさ
んつくっていきましょう!


(2020/01/05_マネジメントだより_492)